HSP看護師には訪問看護が合っている!というSNSは見かけたことあるけど、どうなんだろ?
こんにちは!繊細(HSP)看護師のみなみです!
訪問看護に興味があるけど、HSP気質の看護師にできるの?
と思っている人も多いのではないでしょうか?
今回は
- 訪問看護の仕事内容
- 必要な看護技術
- HSPにとって向いている点・向いていない点 をご紹介しますね。
- 訪問看護に興味がある
- 訪問看護の詳しい仕事を知りたい
- HSPの自分でも出来そうか知りたい
\ こちらもどうぞ /
訪問看護とは
全国訪問看護事業協会のHPには以下の様に説明があります。
病気や障害を持った人が住み慣れた地域で、その人らしく療養生活を送れるように、
看護師等が生活の場へ訪問し、医師の指示書のもとに、看護ケアを提供し、自立した生活を送れるよう支援するサービスです
引用:全国訪問看護事業協会:訪問看護とは
対象者は医療・介護を必要とする、障害のある赤ちゃんからお年寄りと広い範囲の方がたです。
高齢者ばっかりと思ったら、精神疾患の若い方や赤ちゃんまで!守備範囲ひろっ!
訪問看護の需要
現在の訪問看護事業所の数はいくつかご存じでしょうか?
訪問看護を行う事業所にはいくつか種類があり、
指定訪問看護事業所である「訪問看護ステーション」
みなし指定事業所の「病院・診療所」
の2種類があります。
これらを合わせると現在13003か所(全国訪問看護事業協会:R3年度版)になります。
これは2010年からの10年で約2倍の数になっています!
総数が増える中、みなし事業所(病院・診療所)の事業所数は減少しており、訪問看護の仕事は訪問看護ステーションがメインになってきています。
訪問看護ステーションによっては、利用者とスタッフのバランスが悪く多忙の訪問看護ステーションもあります。
今後は医療スタッフの人員も増やしていく必要があります。
この状況から訪問看護ステーションや訪問看護師の需要は今後も伸びていくと考えられます。
訪問看護の仕事内容
訪問看護の詳しい仕事内容としては以下があります。
- 病状の観察
病気や障害の状態・バイタルをチェックし異常の早期発見を行う - 在宅療養の介助
入浴介助、食事や排泄などの介助・指導 - 内服管理
薬の作用・副作用の説明、飲み方の指導、残薬の確認 - 医師の指示所に基づいた医療処置
点滴、カテーテル管理、胃ろう管理、インシュリン注射など - 褥瘡処置
褥瘡処置や予防の指導 - 精神疾患・認知疾患のケア
利用者と家族の相談、対応方法の助言など - ご家族に対しての医療相談・介護相談
介護の方法の助言、病気や介護の不安の相談など - リハビリテーション
機能の回復、拘縮の予防訓練、嚥下機能訓練など - ターミナルケア
がんの終末期を自宅で自分らしく過ごせるように支援を行う - 医療機器の管理
在宅酸素や、人工呼吸器などの管理
※参考:全国訪問看護事業協会:訪問看護の仕事
ご本人からご家族までの関わりがあって、仕事内容も多いね。大変だ!
実際の現場で多い訪問看護の仕事内容は…
訪問看護で多い仕事内容は、上から
- 病状観察
- 療養指導
- リハビリテーション
- 家族指導・支援
- 身体の清潔保持
- 服薬管理
※参考:訪問看護の現状とこれから2021年版:I-07.訪問看護ステーション利用者の看護内容 P9より
になっています。
やはり、主に病状のチェックと健康管理がメインのお仕事になりますね。
点滴管理や膀胱留置カテなどの看護技術を要する看護は少ない様子です
訪問看護に必要な看護技術
訪問看護師に必要な看護技術としては、
- バイタル測定・観察技術
- 敵便・膀胱留置カテーテル挿入
- 痰吸引
- 褥瘡処置
- インスリン注射・管理
- 呼吸器管理・酸素管理
- 点滴留置・点滴管理
- CVポート穿刺・点滴・抜去 など
数は少ないですがやはり、点滴留置や膀胱留置カテーテル挿入など基本の看護技術を使います。
ベテラン訪問看護師でも久しぶりに点滴留置する際はかなり緊張すると聞きます。
また、ターミナルケア等でCVポートのある方にはポートフラッシュやCVポートからの点滴もあります。
病棟看護師からすぐさま訪問看護師へ転職すると、点滴管理に関してはかなり重宝されるでしょう。
書類作成などの事務作業が忙しい…
訪問看護事業所は主治医が作成する「訪問看護指示書」に基づき、健康観察や医療処置、身体介護を行います。保健師・看護師は「訪問看護計画書」を作製し、実践し「訪問看護報告書」を主治医に提出しなくてはなりません。
そのため、訪問看護の業務だけでなく書類作成でかなり忙しいようです。
加えて、看護記録も書かなければなりませんが看護記録に関しては最近はタブレット等で電子カルテになってきています。
字がへたくそで漢字も苦手野郎には助かる…(笑)
タイムスケジュール
勤務時間は月曜日から金曜日の日勤(9:00~18:00)が多いです。約5割の訪問看護ステーションは平日制です。
しかし、各訪問看護ステーションによっては土曜日も営業していたり、365日営業の場所もあります。
個人事業主が運営している場所も多いから、毎日営業の訪問看護ステーションもあるよ
訪問看護師の1日のタイムスケジュール(例)
9:00 | 訪問看護ステーション出勤 書類の確認や情報収集。朝礼 |
9:30 | 午前の訪問 自転車・車にて訪問 1~2件程度 |
12:00 | 休憩 |
13:00 | 午後の訪問 自電車・車にて訪問 2~3件程度 |
16:30 | 訪問看護ステーションにて事務作業 訪問看護記録 訪問看護計画書・訪問看護報告書 主治医等への連絡など |
18:00 | 訪問看護ステーションから退勤 |
移動時間がかかる場所を担当すると、訪問できる件数も少なくなってしまいます。
訪問するのは大体一日4件から5件ほどなんだね。
オンコール制がある訪問看護ステーションもあり
夜間や休日の急変の場合に出勤する「オンコール」がある訪問看護ステーションもあります。
オンコール体制には、当直室で待機する場合とピッチを携帯して自宅待機する場合がありステーションによっても違います。
オンコール体制に関する調査ではピッチを携帯してのオンコールが9割と多いようです。
※全国訪問看護事業協会:訪問看護ステーションにおける24時間体制に関する調査2016年
オンコール担当になったとしても、呼び出しが無かったり、電話相談で済むということも多いです。
季節によっては夜間訪問も多くなることも。
あんまり出動は無いみたいだけど、やっぱりオンコールはちょっと緊張するな
繊細さん目線で訪問看護の仕事を考える
大変そうだけど魅力的な訪問看護はHSP気質の看護師に向いているのでしょうか?
HSPの特徴(参考文献:敏感すぎて生きづらい人の明日からラクになれる本)から考えてみましょう。
- 刺激に敏感すぎる
- 心の境界線がもろい
- 疲れやすい
- 人の影響を受けやすい
- 自責・自己否定が強い
- 予感や直観力が強い
上記を参考に向いている点・向いていない点を考えます
HSP看護師に向いている点
- 関わる人数が少ない
- 看護業務は1人で訪問することが多い
- 夜勤がないため生活サイクルが整っている
- 深く情報収集できる
- 給与も安定している
関わる人数が少ない/訪問看護は1人で訪問することが多い
病院勤務に比べると1日に接するスタッフや利用者・家族の数は少なくなります。
また、訪問看護は基本看護師1人で看護にあたります。
病院勤務ならパートナーシップ制度などで四六時中スタッフと一緒で疲れます。
訪問看護なら余計なことを考えず、患者さんの事を考えて看護できるので充実感も得られやすいです。
人の影響を受けやすく疲れやすいHSPにとっては働きやすい職場と言えます。
主治医・ケアマネさんなどとの電話関わりなどありますが常にじゃないのはありがたい。
夜勤が無いため生活サイクルが整っている
平日の日勤勤務が多い訪問看護ステーションはライフワークバランスも整いやすいです。
オンコールや残業はありますが、休日や夜は一般職と同様に家族と過ごすことが出来ます。
刺激に敏感で環境の変化に弱いHSPにとっては、生活サイクルが一定で働きやすい職場と言えます。
深く情報収集できる
HSP気質のある訪問看護師さんで
「訪問先の暗さや匂い、利用者のちょっとした雰囲気の変化からも多くの情報を得ることが出来る。そのためいつも看護記録は長文になってしまう。」
「これも大切な情報なので、スタッフに情報共有できるよう多くの情報を看護記録として書いています」
という記事を拝見したことがあります。
刺激に敏感すぎていつも様々な情報をキャッチしているHSPだからこそ、訪問の時間内に多くの情報を得る事ができて看護につなげる事ができます。
短い訪問時間で多くの情報収集が出来るのは訪問看護師として重要なスキルと言えますね!
給与も安定している
夜勤のある病院の看護師の平均年収480万円(2019年度)よりは40~50万程低くなりますが、
訪問看護師の平均年収は435万円ほど。
しかしこれは、地域によってや事業主によっても給与は変わります。
訪問看護ステーションによっては、看護師の平均年収より同等か高くなる事も。
訪問看護の需要が高まっていることもあり、訪問看護師の平均年収も少しづつ上がってきています。
オンコール制や夜間訪問にも手当がつく事も大きいでしょう。
予感力が強く将来に関して不安になりやすいHSPにとっては安定している給与は安心材料になります。
夜勤をしなくても病棟同等の水準になれる可能性はありがたい…
HSP看護師に向いていない点
- 看護ステーションによっては多忙を極める
- オンコールなど一人で決断する事のストレス
- スタッフ間の人間関係に巻き込まれる可能性
- 運転が苦手な人はつらい
看護ステーションによっては多忙を極める
訪問業務以外にも他職種連携や事務作業など多くの仕事があります。
連携するスタッフが同じ職場に居ないので電話連絡になります。行違うことも多いため、その分電話対応にかける時間が増えて残業につながります。
休日・夜間の緊急訪問があったりと多忙のステーションもあります。
訪問看護のスタッフもまだまだ足りていないため、訪問看護ステーションのスタッフ1人にかかる負担が大きくなっている状況です。
訪問看護師(日本看護協会H27年7月23日)の離職率は15%、病院常勤看護師の平均離職率は11.5%(日本看護協会2020年病院看護実態調査)と離職率は高くなっています。多忙以外の理由もありますがやはり忙しいという理由も。
多忙すぎる職場は生活や心のバランスを崩してしまう事もあります。
入職前に、残業時間や業務内容などを確認しておくのが良いですね
オンコールなど人例で決断する事のストレス
訪問先では自分で判断する場面が多くなります。電話にて先輩に確認できますが、訪問時間中に相談できるとは限りません。
「判断が間違っていないか」と不安になる事も。
また、オンコール担当は必要以上負担に感じる人もいます。
緊急訪問の場合は緊急を要する判断が必要な場面も多くなります。
コールがならなくても、ずっと気が張った状態で次の日の勤務を迎えるのでHSPにとっては辛い場合もあります。
訪問看護師の退職理由に、1人で判断することの心的負担も理由に上がっています。
スタッフ間の人間関係に巻き込まれる可能性
訪問看護ステーションではスタッフの配置基準により常勤スタッフ2.5人という規定があります。そのため小さなコミュニティーとなるため人間関係が濃ゆくなりがち。
良好な人間関係なら良いですが、複雑な人間関係になってしまった場合は逃げ場がない分かなり辛いでしょう。
人の些細な様子からその人の気持ちを感じ取りやすいHSPは色んな人の感情に振り回されて疲弊することも。
スタッフや上司との関係がより濃ゆくならざるを得ないのはつらいかも
運転が苦手な人はつらい
訪問看護は、徒歩もありますが基本的に自転車か車移動になります。
訪問看護ステーションによっては、自転車・車は自己で準備することも。運転が苦手な人にとっては毎回の移動は神経を使う事になります。
訪問という形態だからこそのストレスですね。
確かに傷ついた訪問車見かけたことあるわ
訪問看護は繊細看護師にとって向いているが、向いていない点もある
病院と違って、患者さんと1対1で看護できる訪問看護は充実感もありHSPに向いています。しかし、場所によっては人間関係で苦しんだり、忙しさや決断の重さなどHSPに向いていると言えない場面もあります。
人間関係は運に近い所がありますが、就職活動で職場訪問をしてスタッフの雰囲気や訪問件数、業務体制などを詳しく確認する事で避ける事は出来ます。
HSPは、非HSPよりも直観力が優れているので自分がいいなと思える職場をさがしましょう